本年前半の国情とそれに伴う国政情勢を分析する!

高橋利行先生

講話日:令和2年7月21日(火)

高橋利行先生

政治評論家、元読売新聞論説委員・ 編集局次長・新聞監査委員長

講演要旨

コロナ禍と憲法
 新型コロナウイルスの流行により、4月7日に総理から「緊急事態宣言」が発令された。6月の解除まで2か月間、国民は自粛をしていた。今の日本国憲法には、欧米のようにロックダウンができるほど強い私権を制限する規定がない。そのため、休業してもらうにしても、国民に対する要請という形でしかできない。「公共の福祉」という文言はあるが、今回のような事態に備えた「国家緊急事態」規定を置くのが正しい道だといえる。

永田町で囁かれるジンクス
 長期政権のあとは長続きしないのが永田町の定説である。
  ・佐藤栄作(7年8カ月) → 田中角栄(2年5カ月)
  ・中曽根康弘(約5年)  → 竹下登(約1年半)
  ・小泉純一郎(5年5カ月)→ 第一次安倍晋三(丸1年)
 現在の第二次~第四次安倍内閣は8年に入っており、この定説によれば今ポスト安倍といわれている人物の内閣は短命に終わることになる。
もう一つのジンクスは
  ・鈴木善幸(2年4カ月) → 中曽根康弘(約5年)
  ・宇野宗佑(2カ月)   → 海部俊樹(2年3カ月)
  ・森喜朗(9カ月)    → 小泉純一郎(5年5カ月)
 左の人物は在職中あまり評判の良くなかった人物。評判の良くない人物の後の内閣は長続きするというジンクスである。つまり、ポスト安倍の動きとは、安倍総理の次の次を見据えた動きである。
 政権末期というのは、一人で孤独と向き合わなければならないものだ。例えば、吉田茂は、腹心中の腹心緒方竹虎に裏切られ、首を切ろうとして池田勇人に止められ、一人寂しく官邸を去っていった。
安倍内閣の終焉はどのようなことになるのか。その結果を左右する要素の一つが11月のアメリカ大統領選であろう。トランプと安倍総理はあまりに強く結びついているがゆえに、(ボルトンの暴露本でも明らかになったが)それに対する嫉妬も物凄いものがある。トランプ落選となれば、安倍総理のショックも相当大きなものになるだろう。
 田中均(日朝会談の立役者)が、アメリカ大統領選について面白い予測をしていた。中国の目線で見れば、バイデンよりは任期の後半にレームダックになるトランプを推すだろう。もしかすると北朝鮮をけしかけて、韓国に侵攻することもありうるというものである。

安倍総理の選択
 この秋に解散するのでは?という予測もあるが、大義名分がない。仮に行われたとしても、圧勝は無理で、3分の2は失うことになる。となれば、連立の相手は馬が合わない公明党から維新に組み替えということはあるかもしれない。
 9月末には自民党役員任期が切れる。この時に、二階幹事長は退任ということになるのではないか。 安倍四選は、本人の気力・体力からしてほぼなくなったと言えよう。岸田禅譲を考えているようだが、選挙の顔としてどうか?という声があるのは否定できない。過去の総裁選のデータをみても、地方票は石破に流れている。ただ、地方の自民党員は、河井夫妻の事件を見ても分かるように、カネで簡単に投票行動を変えてしまう。世論調査で石破有利とは言っても、投票するのは自民党員である。国民と自民党員では考え方が違うのだ。
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