分かりやすい憲法改正学へのすすめ その7
──「現行憲法第九条の問題点」──
講話日:平成27年7月24日(金) 清原淳平会長
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講演要旨
集団的自衛権とは、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、同盟国ないし国連加盟国として、協同ないし連携行動している国が攻撃された場合に、自国が攻撃されたのと同様に実力をもって阻止・救援することが正当化される、国際法上の権利をいう。昨年、安倍内閣が集団的自衛権は、限定的であるが、行使できると解釈変更した。今回の安全保障法制は、日本の領海内に限らず、我が国の存立危機事態があれば、集団的自衛権を行使することが出来るようにする。よく、地球の裏側に出て行って軍事行動を云々という反対論があるが、例えば中東ペルシャ湾のホルムズ海峡の機雷掃海活動やソマリアの海賊対策など、後方支援に限った国際貢献を行う目的に活動が限定されている。そもそも、我が国の存立危機事態に限定されているのであり、自分の国は自分の国で守るのが当り前である。憲法解釈変更反対論や違憲論が主張されているのは、条文をそのとおりに解釈する大陸法系に立っているからである。現在は判例を重視する英米法系が主流であり、自国の憲法より国際法・条約が優位に立つ条約優位説が主流でもある。だから、砂川判決、日米安全保障条約、国連憲章は安保法案の根拠になりうる。本来、現実に合わない憲法を改正すべきだ、という声が上がってきてもおかしくないのだが、日本ではこれが「戦争するための法案だ」などという議論になってしまうのが嘆かわしい。「平和、平和」と唱えているだけで平和が守られるわけではないし、自分の国だけ平和であればいいという考え方は国際社会では通用しない。安保法制の国会論議を見ていると、「こういうケースでは集団的自衛権が適用される」と細かく言わされているが、他国は中継を当然見ているので、近隣諸国はその間隙を突いてくるだろう。