沖縄の現状分析、私の政治信念、改憲への考え方
講話日:平成27年9月9日(水) 宮崎政久先生 衆議院議員・自民党憲法改正推進本部幹事・ |
講演要旨
今の日本国憲法は、制定手続に沖縄県選出の議員が関与していないという点において、その欠陥を埋める作業が必要である。昭和20年に施行された普通選挙法では、附則において沖縄県民の選挙権が停止されていた。そして、昭和21年の選挙で選出された議員によって日本国憲法が制定されたわけだが、国民主権の見地からして沖縄県民にも主権は存在するはずだ。国民主権とは、権力的契機(国の政治のあり方を決定する権力が最終的に国民にある)と正当性契機(権力を正当づける権威は国民にある)に分かれる。「国民」の範囲は、権力的契機を強調すれば、統治のあり方を決定する有権者にあり、正当性契機を強調すれば、有権者以外でも全国民が範囲になる。沖縄返還まで、確かに三権はアメリカにあったが、領土に対する権利は日本にあった。例えば、恩給法による給付は返還前から行われていたし、日本以外の第三国で沖縄の人間が危害にあったとき救済する役割は日本が担っていた。これを潜在(残存)主権といい、本来国際法にない概念だが、恩給法適用の時に日本政府が主張し、適用されたものである。よって、沖縄には日本の主権が及んでいたのである。すなわち、沖縄県民が制定手続に参加していない日本国憲法の欠陥を埋める作業が必要だ。こういう話を護憲派にすると荒唐無稽だと主張してくるが、制定手続に不備があるのは明らかであり、憲法を一言一句変えるなという人間であってもそこは主張すべき点なのである。それに、憲法制定から60数年たち、その間時代は動いているのであって、法文には変えるべき点が色々と出てくる。沖縄の基地問題については、普天間の固定化を避けることが第一である。辺野古移転に単純に賛否を問うだけなら反対派の抵抗もすさまじくなるであろうが、石垣島の村長が安保法制に賛意を表するなど、現実を目にすれば安全保障のパワーバランスを崩さないことの必要性は必ず理解できるはずだ。