私の憲法改正に対する考え方・進め方
講話日:平成26年10月22日(水) 船田元先生 衆議員議員・自民党憲法改正推進本部長 |
講演要旨
国民投票法改正案が去る6月20日施行され、憲法改正が可能となる環境が整った。平成30年までの4年間は投票年齢は20歳に据え置き、それ以降は18歳となる。憲法審査会でも議論が続いているが、まだ積み残しの案件もある。(1)選挙権の年齢も18歳に引き下げるが、選挙違反に対して少年法を適用するかどうかの問題。特に買収や連座制等重大な違反に対してどう対処するのか、与野党間で取りまとめている。(2)国民投票に関する運動。国民がいかなる政策を選ぶかは基本的に自由だが、公務員がその地位を利用して運動を行うことについては、規制を設ける方針である。(3)憲法改正への道筋については、複数回に分けて、比較的合意の得やすい条項から、複数回に分けて国民投票を行い、1回の投票で4,5項目程度の投票を行う構想となっている。合意の得やすい条項としては、環境権、緊急事態条項、財政規律、96条(改正条項)、79条(裁判官の報酬の引き下げ)、89条(私学助成など、公の支配に属しない団体への援助)などである。9条に関しては、いずれ改正しなければいけない内容であるが、万が一否決されると憲法改正が頓挫しかねない。改正要件の引き下げを終えてからが現実的といえよう。
憲法改正のポイントとしては、(1)翻訳調の前文を改め、天皇を戴き、我が国の歴史伝統文化を大切にすることを明記。(2)天皇を元首とし、日の丸君が代は国旗国歌であることを明記。(3)緊急事態条項の規定。参議院の緊急集会で対処できない場合、衆議院の解散を延期できるようにする、という点では野党も同意しているが、加えて、緊急事態に対し国会の議決を待たずに内閣が対処するという点、私権の制限、濫用を防ぐための緊急事態解除なども規定する。また、第9条2項に集団的・個別的自衛権を有することを明記。(4)自由や権利には責任や義務が伴うことを明記。公共の福祉は公益及び公共の秩序に改める。環境権、プライバシー権の追加。(5)総理大臣のリーダーシップを強めるために、自分の意思で解散できる権利、国防軍の最高司令官であること、内閣の代表権等の明記。(6)改正要件の緩和。(7)地方自治体の役割と再編が挙げられる。