日本国憲法に無く、諸外国憲法にある「国家緊急事態対処規定」の意味 

清原淳平会長

講話日:令和5年7月26日(金)

清原淳平会長

講演要旨


 国家には、平常時もあれば、非常時もあるという認識が必要。非常事態は大別すると4種類あり、外国には非常事態対処規定があるが、日本国憲法にはない。問題認識には、外国憲法にはなぜあるかを初めに説明するとし、ポーランド、韓国憲法を例に挙げ説明した。
 非常事態宣言は国のトップの専権であり、その宣言中は、行政のトップの任期も、総選挙も延期される。(フランス・ポーランド・ドイツ憲法に規定あり)日本で緊急事態宣言が出されていた当時、時の菅義偉総理に、総裁選や総選挙を延期していただきたい。そして、緊急事態対処規定、宣言規定を至急憲法に明記していただきたいとの提言を出した。そして、総理退任後、現行憲法に国家緊急事態規定を置く必要性を指摘して下さり、憲法審査会の議題になった。なお、54条の「参議院の緊急集会」で対処し、憲法改正の必要なしという意見が出ているが、54条は、あくまで衆議院解散の場合の臨時措置であり、前記4種の国家緊急事態の場合ではない。拡大解釈を禁ずる近代法制度理論に反することになる。
憲法審査会における、いわゆる「中山方式」について。通常の委員会では、議席数に応じた委員数と発言時間が与えられているが、憲法審査会では、中山太郎初代委員長が、野党を議論に参加させるため、議席の多少にかかわらず、質問時間は平等に与え、全会一致でなければ先に進まないというルールを設けた。すると、改憲反対党が延々と発言し、改憲派の自民党の議員にまで影響を与えるようになって行った。一般の委員会と同じにしないかぎり、いつまで経っても成果は出ない。岸信介総理は、内閣の中に憲法調査会を設置した。この方式を取り入れ、改憲派政党だけで議論を先に進めていただきたい。

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