新日本の精神とされる「前文」、その出典/根拠をあきらかにする!
講話日:令和4年12月26日(金) 清原淳平会長
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講演要旨
今回は、GHQの起案委員会が、日本国憲法前文の内容をどこから採ったのかを、5つのセンテンスに分けて詳細に解説する。
そもそも、前文は条文そのものではなく、条文を補う性格を持つ。その法令の制定趣旨・目的・基本原則、あるいはその国の歴史的経過などが記される。また、裁判規範性(前文の文言をもとに裁判を起こすこと)もない。憲法前文を持たない国も多い。
まず、第一センテンスは、アメリカ合衆国憲法の前文とほとんど同じ趣旨の記述がある。これは、GHQの起案委員会の職員たちが、マッカーサーに命じられて、戦勝国の憲法を見ることから始め、文章の表現は変えたが、趣旨はそのままとった。そのことは、アメリカの学者が昭和21年に雑誌で発表していることも明らかになっている。
第二センテンスは、リンカーンのゲティスバーグ演説から採った。表現はそっくり同じではないが、アメリカ流に分かり易く解説した。ただし、これを国民一人一人が主権者であると解釈するのは誤っている。原文には、「government by the people」と「the」がついているので、日本国民全体を指す。また、「by」と「the」の間に,(カンマ)がない。これは民主主義の理念を訴えたものである。なお、第一センテンスの文章はなぜこんなに長いのか?それは、アメリカ合衆国憲法とリンカーンのゲティスバーグ演説は一体のものと考えているからだ。
第三センテンスの冒頭は、詫び証文のように読めるが、これはマッカーサーが、自分の占領政策を成功させるために、①陸海空軍の不保持、②武力行使の永久放棄、③交戦権の否認を盛り込んだと考えられる。中段は、米英ソによるテヘラン宣言(1943年)から採ったもの。後段は、米英による大西洋憲章(1941年)から採ったものである。
第四センテンスは、国連憲章の前文から、当時国連に加盟していなかった日本に合わせて表現を変えたものである。
第五センテンスは、アメリカ独立宣言から採ったものである。
私は、日本国民に問いたい。日本国憲法の冒頭にある前文の内容が、こうして外国の資料から起案されたものでよいのですか、と。中には、外国製でも、内容が良いからいいだろうという人もいるだろう。私は、日本国憲法である以上、日本の地政学的位置、その歴史の成り立ちにも触れ、日本国の政治・経済・社会の在り方を分かり易く書きたい。
最後に、『国民のための憲法改正学への勧め』の清原淳平前文試案を紹介し、国民の皆さまの参考に供したい。