内閣改造・党役員人事を見て、秋の臨時国会を占う

高橋利行先生

講話日:令和元年9月24日(火)

高橋利行先生

政治評論家、
読売新聞元解説部長・論説委員・編集局次長

講演要旨

海外メディアのでたらめ報道。
 海外のメディアは、外信部や国際部の人間に聞いて記事を書いている。ところが、日本に来ている記者は、そもそも日本の政治のことをまったく勉強もしていない。週刊誌や新聞の記事を読んで、それを真に受けて記事を書いており、実態と大きくかけ離れた報道をしてしまっている。
 逆に日本における海外政治の報道はどうかというと、やはり海外の記事を読んで書いているだけなのだ。トランプが当選するとは、どこも報道できなかった。
日本は、自分の頭で考えるチャンス。
 日本は戦後、アメリカに軍事を依存して、経済発展だけを考えていればよかった。ところが、トランプが大統領になり、日本の防衛に対して、突き放した発言をしている。自衛隊については、判例を経て合憲という判断が妥当になってきてはいる。しかし、中国とどう対峙していけばいいのかも考えなければならない。70年間アメリカに守ってもらっていて、思考停止状態になっているが、今こそいいチャンス。自分の頭で、今後どうしていくべきか、考えていかなくては。
今回の内閣改造・党内人事について。
 安倍首相は、今回の参議院選挙を含めて国政選挙で6連勝。これは、民意である。
 今回の内閣の顔ぶれを見ると、主要ポストが変わらず、その他は、あたりまえのメンバーなので、マスコミはどう評価していいのか分からずにいる。そこで、「在庫一掃内閣」などと書いている。実際は、そうは言えない。今回新大臣が13人入ったが、待機している人は70人もいるのだ。
 たとえば平沢勝栄さんは今回も大臣になれなかった。平沢さんは、安倍さんの家庭教師をかつてやっており、安倍さんを厳しく教えていたので、その恨みで入れてもらえない、とも言われている。
 麻生さんが、留任で、財務省をしっかり押さえている。菅義偉さんも官房長官留任。これは役人の抑え。防衛大臣の河野太郎さん。これはよかった。外務大臣と防衛大臣の両方を務めている人はこれまでいなかった。外務と防衛は、表裏の関係なので両方やることに意味がある。茂木さんも横滑りで外務大臣となった。茂木さんは頭がいいので、そこそこやるはず。総務大臣は高市早苗。これは前にも総務大臣をやっているので問題ない。前回は放送免許をちらつかせて、民放に脅しをかけた。総務大臣は守備範囲が広いが、よく把握している点が強みだ。
 加藤勝信厚生労働大臣には、少子化問題に真剣に立ち向かってもらいたい。きょうの「世界日報」を読んでいたら、「少子化問題解決を憲法に入れろ」と書いてあった。なるほど、と思った。
 党内人事については、二階幹事長が留任となった。二階さんがいないと、党内がガタガタになってしまうためだ。幹事長というのは政党助成金300億円を握っていて、自由に使えるので、すごい力がある。公明党との関係が良好なので、憲法改正の説得をする、という条件を呑ませて幹事長留任となったのではないか。 憲法改正について。
 自民党が参議院選挙に勝利して、いよいよ憲法改正問題が前面にでてきた。国民も「憲法改正してもいいんじゃないか」という機運になってきていているのだが、野党だけが後ろ向きなのだ。憲法改正推進本部長になった細田さんは、力もあるし、人柄もいいので、野党も拒否反応は起こさないだろう。両院議長も憲法改正に前向きな人だ。とにかく憲法改正の議論をしてほしいものだ。
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