分かりやすい憲法改正学へのすすめ その9
──「第三章 国民の権利・義務の中の問題点(下)」──
講話日:平成27年10月27日(火) 清原淳平会長
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講演要旨
先月に続く後半、第24条[婚姻]~第40条[刑事補償]まで、現行各条文の問題点を指摘し、当団体が平成18年に発表した第3次案との条文を対比しつつ解説がありました。
まず、婚姻につき、現行条文は「婚姻は両性の合意のみに基いて成立し、」とあるが、両性とは男女のことだから、最近、渋谷区の同性婚を認める証明書を出すなどは違憲の疑いがある。「両性の合意のみ」と書いてあるが、その後の離婚率が高いことから、結婚を若い二人だけで決めてよいのか、また、結婚は、住居の選定、育児、財産権、相続に関わるだけに、両親などの意見も参考にすべきだと考え、私どもの改憲案では、「のみ」を排して、「両性の合意に基づいて成立し」とした。
次の現行[生存権]規定は、当団体では、新たに3項として、「心身に障害を持つ者、高齢者、妊産婦、母子家庭に対する、国政の上で特段の配慮を与えるものとする。」を新設したこと等々、その後の各条項についても、現行条文の問題点を挙げ、当団体の改正案文につき、説明をした。
また、現行第31条に「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」とある条文につき、一般に憲法学者は「罪刑法定主義」を規定したものとするが、当団体では、この規定では、「法律に定めさえすれば、死刑・懲役・禁錮等の刑罰を科することができる」とも読める。過去の歴史を見ると、戦前のドイツやイタリアで、ヒットラーやムッソリーニなどの独裁者が生まれて議会を掌握し、法律を作ってユダヤ人などを迫害したこと。また、ロシアで革命を起こし政権をとったレーニンも法律をつくり何百万人も拘束し強制労働させ、処刑したことからも、現在の民主主義各国の憲法が明記しているように、法律とある前に「適正な」を入れるべしと考え、当団体案文では「何人も、適正な法律の定める手続に~」と改正している等々、その後の各条についても、改正箇所を説明した。
そして、現行第33条~第40条は、いわゆる手続規定で、すでに現行刑事訴訟法にも同様な条文があるので、当団体案ではこれを削除した。そのかわり、この章の終わりに、権利と義務は盾の両面という考え方から、国民の責務として5カ条をまとめて列記してある、等々詳細な解説がありました。