5月3日開催 沖縄県民の集いの報告
「新しい憲法をつくる沖縄県民の集い」報告
講話日:平成23年6月8日(水) 小林正理事
元参議院議員・新緑風会政審会長
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講演要旨
憲法改正について考える憲法審査会は今どうなっているか。衆議院も参議院も規定が出来たが、委員が決まっていない。これでは審議が始まらない。結局、民主党は憲法改正に反対なのだ。沖縄で講演する前に沖縄護国神社に案内していただいた。神社では昇殿参拝させていただき、そこで宮司さんの伊藤さんに様々な話を伺った。沖縄護国神社は、県民の4分の1が初詣に訪れるというほど、県民に親しまれている存在だ。というのも、本土の護国神社や靖国神社とは違い、沖縄護国神社では、軍人だけではなく、県民も祀っているからだ。また、普天間基地がよく見える丘にも連れて行っていただいた。普天間基地を見た感想は、「厚木基地ほど危険じゃないな」ということだった。そもそも普天間基地が出来た後に沖縄国際大学ができた(1972年設立、2004年米軍ヘリコプターの墜落事故があった)のを見ても分かるように住宅密集地にわざわざ基地をつくったわけではない。普天間基地近くにしばしば報道される有名な小学校があるが、その小学校は安全な移転地が決まっているのに、県の幹部が移転の許可を出さないのだ。それは「子供たちを犠牲にする米軍」というイメージを見せるためである。子供たちを犠牲にしているのは、まさに県の幹部たちの方なのだ。「我が国における非常事態法制」についての解説では、現在の憲法には、平時における規定しかなく、国民の安全と生存にとって、非常事態を想定しないこの憲法は致命的欠陥がある。大日本帝国憲法には、第8条に、「緊急時には法律に変えて勅令を発す」、第14条には「天皇は戒厳を宣告す」という規定があり、88年前の関東大震災直後には、非常事態に関する規定がある。
民主党は沖縄を活かす政策として、全県自由貿易地域とし、東アジア各地との交流拠点とする、としている。外国人受け入れのための3000万人ステイ構想、ビザの免除、地域通貨の発行、中国語教育を沖縄全県下の小学校で行うなどを打ち出しているが、これらの構想は「一国二制度」を前提にしなければ実現不可能である。しかし、この一国二制度は、中国が香港を回収するために用いた方法であり、中国に沖縄を奪われてしまう危険がある。沖縄が中国に奪われてしまえば、米軍も去り、日米安保も成立しなくなる。この沖縄を自由貿易地域にしようという考えの背景には「東アジア共同体構想」があるが、EUとは違って、東アジアには共通の価値観は存在せず、共同体となることはありえない。