急がれる安倍政権下での改憲!冷戦思考からの脱却が急務!

高橋利行先生

講話日:平成30年11月15日(木)

高橋利行先生

政治評論家、
読売新聞元解説部長・論説委員・編集局次長

講演要旨

1)まず大命題として3つの選択肢がある。
 (1)安倍政権を守るため、(2)自民党を守るため、(3)憲法改正そのものが大事なための3つだ。野党、立憲民主党などは「安倍政権の間は改憲に反対」というが、改憲は国民のことを考えてするもので、誰の政権ならダメという性質のものではない。

2)憲法改正は自由民主党の立党の精神
 昭和30年当時、左派社会党と右派社会党が再統一する動きを知ると、このままでは社会党に政権を取られてしまうと危倶した当時の保守二党、日本民主党(鳩山党首)と自由党(吉田元首相)は急遽話し合い、保守大合同することを決め、両党に共通する「自主憲法制定」を旗印に、同年11月15日、「自由民主党」を結成し、今日に至っており、それからすると、自由民主党政権である限り、誰が総理になろうと、憲法の改正は必要である。

3)現在衆参で3分の2を保持している安倍政権でこそ改憲する可能性あり
 長い自民党政権では、憲法第96条〔改正要件〕の「衆参各議員の3分の2以上で発議」という要件を満たせない間は、積極的に推進活動できないが、いま、その要件を満たしている安倍政権で改正しなければ、向後出来ないのではないかという情況にある。

4)公明党の賛成をどうして得るか
 それには、時代の要請による環境権などを追加するのは賛成だが、条文の改正は基本的に反対だとする公明党をどう説得するかだが、低所得者層を抱える公明党は、いま国会論議の外国人労働者導入に反対だ。そこで、自民党はこの問題では公明党に譲って、憲法改正では公明党に賛成してもらう、という方法もあるだろう。

5)自民党は来年の参議院通常選挙で3分の2を維持する必要がある
 しかし、6年前の選挙で自民党は勝ち過ぎた感があるので、来年の参議院選挙は減少するとみるのが一般である。そこでどうするか。その減少分を「日本維新の会」で補うか、あるいは衆参ダブル選挙をして強行突破するか、それも危なければ、衆・参・憲法改正国民投票というトリプル選挙も考えられよう。

6)国際情勢が大きく変化している
 第2次世界大戦中、アメリカは、共産主義ソ連と結んで、独・伊・日の枢軸国を打ち負かした。その平和も束の間、米ソ冷戦が始まり、アメリカはそれにも勝って世界一強となり、日本はその庇護の下、外交・安保はアメリカに任せておけばよかった。しかし、現代、北朝鮮の長距離ミサイルは何とか抑え込んでいるが、中国が第2の経済大国となり、しかも.長距離ミサイル保有の軍事大国になり、アメリカ一強を脅かしている。

7)トランプ大統領は日本を見捨てるかもしれない
 トランプ大統領は、まず経済的に中国の力を削ぐために貿易戦争を仕掛けているが、これに中国がどう反応するか、世界は危険な状態にある。トランプは強いもの(国)が好きだ。自分の国を自分で守れない日本は切り捨てられる可能性もある。その点でも、日本はいまこそ、早急に憲法を改正する必要に迫られている、と見ることもできる。
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