分かりやすい憲法改正学へのすすめ その14
――憲法改正、最高法規、補則の各章について――
講話日:平成28年3月25日(金) 清原淳平会長 |
講演要旨
まず、現行第96条の問題点について、
(1)現行憲法には、誰が憲法改正案を国会に提案するのかが書いていない。当団体の第三次案では、国会の在籍議員数の3分の1、あるいは内閣が提起すると明記している。
(2)現行憲法では、「各議院の総議員の3分の2」の賛成で発議するとあるが、総議員は、法定議員説、現在議員説、出席議員説とに分かれる。当団体では、法定議員説や現在議員説をとると、病欠者や鞍替え議員は否決とみなされてしまうので、出席議員説が妥当と解している。現憲法の条文は、このように説が分かれてしまうあいまいな表現なので、当団体の第三次案では「出席議員の3分の2」としている。
(3)発議の後、特別あるいは選挙の際に行われる国民投票で過半数の賛成を必要とするが、1カ条のみの改正であっても国民投票にかける必要性があるか?当団体で調査したところ、そのような規定は主要国ではどこにもなかった。そこで、第三次案では、国家の基本原則について改正する場合に限定している。また、国家緊急事態が発生している中では憲法改正は行えないことも明記している。
次に、第10章「最高法規」について。そもそも、上位法下位法の原則により、憲法が最高法規というのは当たり前の話であるが、なぜこのような条項が置かれているか?おそらく、GHQの担当者がアメリカ憲法にあるものをそのまま持ってきたのだろう。また、憲法と条約が矛盾した場合、どちらが優先するのか説が分かれているが、当団体では、条約が優先することを明確化している。そして、当団体の第三次案では、国旗・国家、政党条項等を入れている。